「フランス音楽の午後2018」プログラムについて

インペクを拝命しております狂箪笥(くるいたんす)です。次回演奏会も一見ごく普通、実はOFJらしいマニアックな選曲が並びました。そこで本日は次回プログラム3曲について、少しだけコメントさせていただきたく思います。

オルケストル・フランセ・デュ・ジャポン《フランス音楽の午後2018》
日時 2018年6月30日(土)14:00開演予定
会場 亀戸文化センターカメリアホール(JR・東武線亀戸駅下車)
指揮 小松 拓人
曲目
ビゼー 歌劇『美しきパースの娘』~ボヘミアの情景
ビゼー 劇付随音楽『アルルの女』第1組曲
ラヴェル 組曲『クープランの墓』(全6曲版)

前半はビゼー、後半はラヴェル。当団は基本的にフランス音楽が好きな人の集まりですが、一言でフランス音楽といっても色々な時代の色々なスタイルの作曲家がいるわけで、団員の嗜好によって以下のグループに分かれます(笑)
グループ1:ドビュッシー、ラヴェル大好き
グループ2:6人組大好き(ミヨー、オネゲル、プーランクなど)
グループ3:ロマン派大好き(ビゼー、グノー、フォーレ)
グループ4:フランス名曲大好き(幻想、オルガン付き、フランクd-mollなど)
グループ5:全部大好き!
・・・
…まあこんな感じのグループが、要は団員の数だけ存在するわけです。毎回の選曲が収拾つくわけがないwwww
というわけで今回は妥協に妥協を重ねて最終的にマエストロの判断を仰ぎ、この3曲になった次第です。

ビゼーといえば『カルメン』、『アルルの女』、以上!で終わるアマチュアオケも多い中、当OFJはこれらが選曲で通ることはありませんでした。やったことのあるビゼーは交響曲第1番、小組曲『子どもの遊び』。今回はさらにもう一捻りして『美しきパースの娘』です。これはビゼーが作曲した同名のオペラで、初演は失敗に終わったものの、劇中のバレエ音楽4曲が「組曲」として現在でもちょくちょく演奏されています。譜面の調達にあたり、組曲『美しきパースの娘』で探してもなかなかヒットせず、某楽器店楽譜係に問い合わせるもはっきりした回答が得られず、この『ボヘミアの情景』=組曲→なんだ譜面あるじゃん、と判明するまで少し時間がかかりました。全曲を通してフルートが活躍し、終曲では『カルメン』2幕のシプシーの歌よろしくどんどん加速し高潮する佳曲です。

続いて名曲『アルルの女』。ここでも当OFJはこだわりました。
『アルルの女』といえば有名なのは「メヌエット」、「ファランドール」…そう、第2組曲ですね。演奏会用の組曲は2つありますが、演奏頻度は圧倒的に第2組曲の方が多く、ミニチュアスコアも第2組曲がやたらと売れます。出版社もそのへんは心得ておりまして、「第1組曲」「第2組曲」を1冊にまとめて販売する出版社もあるようで…。
でも、ちょっと待った!第1組曲と第2組曲には大きな差があるのです。それは「作曲者の意思」。第2組曲はビゼーの死後、後輩のギローが演奏効果が良さげな4曲を編纂したもので、実は「メヌエット」は他の曲(歌劇『美しきパースの娘』)から持ってきており、原曲にはなかったりします。一方第1組曲はビゼー自身が、劇付随音楽全曲の中でお気に入りの4曲をセレクトしたもの。もちろんビゼーの生前は「第1組曲」しか存在しなかたわけで、今回は生前のビゼーが耳にしたであろう『アルルの女』組曲を皆様にも体験していただければと思います。「ファランドール」ではなく「鐘」で終わる『アルルの女』も、けっこう悪くないですよ。

そして休憩を挟んで、ラヴェルの『クープランの墓』。通常演奏する4曲ではなく、全6曲をピアノ原曲の順番で演奏します。
筆者の知る限りではこの全6曲版は日本ではアシュケナージ/N響が演奏したぐらい。色々調べたのですが現時点で過去の演奏記録が見つかっておらず、もしかしたらアマチュア初演かも知れません(情報求む!)。
全6曲(前奏曲、フーガ、フォルラーヌ、リゴードン、メヌエット、トッカータ)のうちラヴェル自身の管弦楽編曲は4曲のみで、曲順も前奏曲-フォルラーヌ-メヌエット-リゴードンと微妙に変更しています。で、作曲者がオーケストレーションを施さなかった「フーガ」と「トッカータ」については、過去にも色々な人が管弦楽版の編曲を試みており、音源も前述のアシュケナージ/N響の他、ハンガリー出身でつい最近亡くなったコチシュ・ゾルターンさんが独自のアレンジで録音しています。今回演奏するのはアメリカの作曲家マイケル・ラウンドによる編曲版を基本にしています。編成を拡大しての個性的なコチシュ版と比べ、他の4曲と編成を合わせ、よりラヴェルっぽいオーケストレーションを施した手堅い編曲です。

で、アンコールは…まだ決まっていません。どうなりますことやら。
では6/30、どうぞご期待ください!

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